Another Blue ~もう1つのブルー

俺たちが生きて行くために、今 愛が必要なんだ

惜春

惜春の 湯網の後に 君を抱き (せきしゅんの ゆあみのあとに きみをだき) [解説] 春の花が散って、過行く春を惜しむ初夏の頃。外から戻って君と2人で風呂に浸かる。互いの身体を洗いながら、気持ちの高まりを抑えきれないように君のことを抱いた。 湯網(湯浴…

『月曜はじまりの恋』

君とつき合い始めた頃から 共有していたカレンダーアプリ 僕は月曜日はじまりで 君は日曜日はじまりのスケージュールだった 何度か君に 月曜日に合わせてほしいとお願いしたけど 君は頑として譲らなかった 今にして思えば二人の時間軸は 最初からズレていた…

『生キトシ生クルモノ』

生キトシ生クルモノ スベテ コレ 罪ノ子ナレバ もしもうちが あなたよりも先に死ぬときは あなたはどんなことを思うのかな 哀しいけど あなたのほうが先に死ぬとき うちは何をしてあげられるのかな そんなことを時々思うことがあるの それは13年前の3月のは…

沫雪

沫雪の 合鍵で開く 秘め扉 (あわゆきの あいかぎであく ひめとびら) [解説] 春が近づくにつれて降る淡い雪は、まるで儚げな恋のようだ。 君から預かっている合鍵を持って、一足先に踏み入れる逢引きの部屋で、君の帰りを一人待ちわびている。 沫雪(泡雪・あ…

『遅春の頃』

湯上りの 遅春の頃 床を敷き (ゆあがりの ちしゅんのころ とこをしき) [解説] 暦の上では春になっていても北国の冬はまだまだ遠い。 風呂に入る前、「布団敷く?」と聞いてくる君が、その後の営みを求めていることに心が躍る。 遅春=春の到来が待ち遠しい気…

『嬉し恥ずかし19の恋』

バスを待つあいだ 2人は傘に隠れて何度もキスをした 嬉し恥ずかし19の恋 このままずっと雨がやまなければいい このままずっとバスが来なければいい 誰かに見られたらどうしようとか 噂になったらどうしようとか そんなことよりただ君のことが好きだった 恋は…

『断捨離』

僕と別れてから君は断捨離をしたかな? お揃いのコーヒーカップ 僕が置いて行ったジャージの上下 僕があげた愛車と同じミニカー 2人で撮ったたくさんの写真 「この子は責任を持って育てます」と言った 僕が拾ってきた猫 「この雑誌は私にちょうだい」と言っ…

十六夜

十六夜の 気脈の先の 冬夜道 (いざよいの きみゃくのさきの ふゆよみち) [解説]密かに連絡を取り合って、君に逢いに行く夜道で、十六夜の月が出ていたのを見て、少し後ろめたさを感じてしまった。 十六夜(いざよい)=十五夜の翌日の月。十五夜より少し遅くな…

『冬 月』

冬月の 浮世離れを 纏う君 (ふゆつきの うきよばなれを まとうきみ) 冬月(とうげつ、ふゆづき、ふゆつき)=冬の月のこと。俳句における冬の季語。 浮世離れ=世間の常識からかけ離れた言動や事柄のこと。 [解説]凍りつきそうな冬の月夜、許されぬ恋に身を焦が…

帰り花

『移り気に 煩う恋の 帰り花』 (うつりぎに わずらうこいの かえりばな) Write:2023.12.13 Photo:2023.11.03 撮影 Camera:OM SYSTEM OM-1 Lens:OLYMPUS M.ZUIKO ED 60㎜ F2.8 Macro(35㎜換算120㎜) *解説:晩秋に季節外れの花を咲かせる紫陽花のように、あ…

青女月

膝枕 耳かき嬉し 青女月 (ひざまくら みみかきうれし せいじょづき ) Write:2023.10.04 Photo:2017.10.04 撮影 Camera:OLYMPUS OM-D E-M1 MarkⅡ Lens:OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150㎜ F4.0-5.6 R (35㎜換算80~300㎜) 青女月(せいじょづき)=夜長月(よ…

『3年分の相性』

あなたとならどんな時も一緒にいられると信じてた その笑顔を見るたびにあなた以上の人なんていないと思ってた でもいつからだろう何か違うって感じ始めたのは あなたに強く抱きしめられるたびに自分の気持ちを誤魔化してた 身体を駆ける刺激がすべてを忘れ…

『久遠(くおん)』

うち妥協して結婚して 今はそれなりに幸せだと思うけれど 本当にこれで良かったのかなって 時々そう思うの キッチンで溜息をつくたびに 時計が逆回りするように あなたのことを思い出してる あの日あなたの手を振り切って 駆け出したのは うちのほうだった …

『糸』

糸を引くような午後の雨 あなたの言葉に誘われ 人知れず求め合う 梅雨寒に火照る肌は あなたのことを欲しがり うつし世の狭間を繰り返す 雨音が静か過ぎて 零れ出した吐息が 誰かに気づかれてしまいそう あなたの舌先が うちの舌を絡めとるように引き寄せる…

『好きと云い合って』

好きとか嫌いとかずっと云い合って生きて行きたかった 好きとか好きとか好きとか好きと云い合ってずっと抱きしめていたかった 生きる意味なんてただそれだけでよかった 自分の中に自分の知らない感情を見つけて怒涛のように打ち寄せる波に溺れるようなそんな…

『摩擦』

あなたのことをどんなに愛せたとしても 本当はこんな自分のことが怖いの この恋が人の道から外れた 陰りをおびた恋だと知っているから あなたに抱かれるまま 業の深さを感じられずにはいられない こんな自分はどうかしてると思う そうわかっていても このカ…

『彼の人』

彼の人は 幻のように過ぎ去って 想い出の中に生きている 彼の人は うちの全てを剥ぎ取って 露わな裸身を弄ぶ まるで平気な顔をして うちの精魂(こころ)を覗き込む 彼の人は 幻のように過ぎ去って 10年ひと世も区切らせぬ うちの那落の苦しみで 愛の姿で生き…

ユキヤナギ

愛しさが 募る小雨の 雪柳 (いとしさが つのるこさめの ゆきやなぎ) 春雨に濡れて揺れる雪柳を見て、無邪気で愛嬌のある君のことを思い出した。 *小さく可憐な白い花をつけるため花言葉は、「愛らしさ」、「愛嬌」。日本または中国原産と言われ、3月下旬~4…

『七色の金魚』

ねえうっとりとした顔で今あたしのこと見てたでしょう本当はあたしに「好きだ!」って云いたいくせにその勇気がないんでしょうねえすれ違いざまにちょっぴり照れた顔をしているのをずっと前から気づいていたわでも今はまだあなたの気持ちに気づかないふりを…

『決 心』

写真を始めたばかりの頃 君は僕のことばかり撮っていたよね 桜が散る坂道で 君が見ていたのは僕だけだったはずなのに 出逢った頃の気持ちで ずっといられたらよかったのにと 今でもそう思うよ けれど人の心は移ろいやすくて 引き止めることなどできないもの…

『おかえりなさい』

うちねずっと待っていたのあなたのことをおかえりなさいきのうもきょうもずっとずっとあなたが来てくれるのを待っていたのあなたのそのホッとしたような顔を見るたびにあなたを好きになってよかったと心からそう思うあしたもあさってもずっとずっとあなたが…

人け無き・・・

人け無き 冬尽く土間で 君を抱き (ひとけなき ふゆつくどまで きみをだき) Write:2022.02.19 Photo:2013.01.14 撮影 Camera:OLYMPUS PEN FT Lens:OLYMPUS F.ZUIKO AUTO-S 38㎜ F1.7(35㎜換算約53㎜ TTLあり) Film:Kodak TRI-X400 季語:冬尽く=冬が終わるこ…

『過去=じかん』

いつか時間が解決してくれると 折に触れて人は云うけれど 君との間に費やした過去は そんなに容易く変えられるものじゃなく ましてや取り戻せることでもない そして今でも君という存在が 繊細にこの心を苦しめる きっとこれから先にある どんな素晴らしい出…

『こんな冷たい雨の夜に・・・』

こんな冷たい雨の夜に君に別れを切り出されたら僕はこの先どうやって生きて行けばいい?そう思えるほど僕は君のことしか見ていなかったからこれが最後の恋だとあの日君に告げた言葉は君を引き止めておくためのまやかしなんかじゃなかったどれだけ愛しても愛…

『あなたという引力』

いいえきっとうちはあなたに狂わされたかったんだと思う平凡な毎日が退屈で日常という現実から逃れるためにあなたに近づいたんだときっと誰にでも有り得る心の隙間を埋めるためのあなたがそのスイッチだったあなたみたいなダメな男に人生を狂わされるという…

『誰そ彼』

あなたは陽射しが南西に傾きかけた頃にやってきてうちのことを玄関先で抱きしめるそして素早くネクタイを解くとシャワーを浴びながら熱いキスで心ごと奪いに来る薄暗い部屋であなたに抱かれているともう何もかもがどうでもよくなってしまうあなたは誰なぜこ…

『夕陽の差し込む部屋で』

あなたはいつもうちのことを「好きだよ」としか云ってくれなかった「愛しているよ」という言葉がどうしても欲しかったわけじゃない「好きだよ」と「愛してる」の間で揺れているあなたの気持ちをいつも察していたから・・・だからあなたに「うちのこと愛して…

『感情的なオートマティック』

あなたと繋がっているときだけ時間を感じていられるドクドクと波打つように熱を帯びながら生きていることを身構る愛は感情的なオートマティックのようにあなたがいなければ動かないからあなたが動くたびにうちの指針は針を速め時を移して行くのこの裸体(から…

『別れの前夜』

別れの前夜君はいつも変わらないように「今日は楽しかったね」と呟いたいつもと変わらない言葉なのにどこか不自然な響きに違和感を感じたことに気づかないフリをしていたあの日の僕は君のことなどそっちのけで違うものばかり見ていた置き去りにしてしまった…

『きのうまでは・・・』

お互いに都合の良い解釈をして見て見ぬフリをしてた尽きることのない快楽の果てにたどり着くまで繰り返される輪廻の戯言(たわごと)あなたはうちのことをやさしく騙してくれるうちはそれを知っていながらあなたの嘘にしがみついてる恋はどこまでも盲目だとそ…