ふいに関西弁の知らないおじさんが俺に声を掛けてきた。
「あっ!これですか。オリンパスのペンですよ!『PEN E-P3』カワイイでしょう?」
俺がそう答えると、そのおじさんは怪訝そうな顔で、まじまじと『PEN E-P3』と俺の顔を交互に覗き込んだ。
しばらく黙り込んだかと思うと、今度は少し強い口調で俺に言い寄ってきた。
「ほら、あんたが首から下げてるカメラ、そっちがペンでっしゃろ?こないだテレビで紹介しとったで!『ペン エフテー』ゆうとったかいの~!?」
「えっ?はぁ、まぁ」今度は俺のほうが言葉を失ってしまった・・・。
オリンパスが大好きな俺は、新旧のPENを持って、しばしば撮影に出掛ける。
ノスタルジックな趣が好きで、町並みに残された古い建物だったり、古い看板だったりを見つけてはパチパチとやっている。
返す言葉を失って、しばらく黙り込んでいると、おじさんは捲くし立てるように話を続けた。
「お前さんがペンゆうとる、その白いやつは、どこぞの舶来もんかいな?だいたい白いカメラなんぞ、見たことも聞いたこともおまへんで!」
一瞬にして俺の身体中から一斉に汗が噴き出し、自分の心臓の鼓動が空気を通して聞こえてくるような感覚に陥った。
その場にしゃがみ込み噴き出す汗をぬぐい、ようやく我に返って辺りを見回すと、そこには今までに見たことのない風景が広がっていた。
いや、かつて自分が子供の頃に見た光景にどこか似ている気がする!?
「まあ、ええわ。ほなおおきに」そう言うと、おじさんは路地の中へとすたすた姿を消した。
しばし呆然としたまま夕闇が迫る西の空を見上げると、そこには通天閣のタワーがおぼろげに見えていた・・・。
撮影:PEN FT
【ショートストーリー+写真①】
*この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
「お前さんがペンゆうとる、その白いやつは、どこぞの舶来もんかいな?だいたい白いカメラなんぞ、見たことも聞いたこともおまへんで!」
一瞬にして俺の身体中から一斉に汗が噴き出し、自分の心臓の鼓動が空気を通して聞こえてくるような感覚に陥った。
その場にしゃがみ込み噴き出す汗をぬぐい、ようやく我に返って辺りを見回すと、そこには今までに見たことのない風景が広がっていた。
いや、かつて自分が子供の頃に見た光景にどこか似ている気がする!?
「まあ、ええわ。ほなおおきに」そう言うと、おじさんは路地の中へとすたすた姿を消した。
しばし呆然としたまま夕闇が迫る西の空を見上げると、そこには通天閣のタワーがおぼろげに見えていた・・・。
撮影:PEN FT
【ショートストーリー+写真①】
*この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。