君との恋は冬に始まり
春に終わった
最初の春は無邪気にはしゃぐ子供のように
何もかもが初めてだった
短い夏はアイスが融けるほど愛し合い
あっという間に通り過ぎて行った
そして引いて行く汗とともに
深まり行く恋は秋を迎えた
指先がかじかむほど凍てつく冬には
お互いを温め合うように寄り添った
2度目の春は桜ほろほろ
陽だまりの下に寝転んで
この幸せがいつまでも続くと信じていた
2度目の夏は益々短く通り過ぎて
微かな心細さが胸をよぎった
秋にはお互いの内側を探るように
日が暮れる短い時を惜しんだ
まだ大丈夫
まだ終わらない
君の熱は僕にまだ伝わっている
3度目の春
当たり前のように桜は咲く
君がそわそわと舞う様を
静かに見つめていた
踊る夏
ほとばしる汗
最後の力を絞り出すように求め合った愛
枯れ葉散る秋
君の口数が少しずつ減ったことを
僕は知らぬふりでやり過ごした
君との恋は冬に始まり
春に終わった
「もう別れましょう」と
君にそう切り出された冬
そして4度目の春
桜の舞い散る公園
それでも君は最後の日にも
「楽しかったねと」
いつもと変わらず呟いた
それが2人で過ごした
最後の春だった
春は何度でも繰り返す
今年も
たぶん来年も
けれど2人一緒の春は
もう2度と戻ってはこない
続編のない映画のように・・・
Write:2020.04.30
Photo:2020.04.30
撮影
Camera:iPhone11
Lens:超広角13㎜